【大相撲記録】関脇7勝以下で翌場所も関脇残留
関脇で7勝8敗と負け越した場合、翌場所の番付は小結に落ちるのが一般的です。
しかし中には、他の力士の成績により関脇に残留するという幸運な結果となった場合もあります。
関脇で7勝止まりで負け越しながら翌場所も関脇に残った幸運な力士はこの5名(6回)。(15日制が定着した1949年5月場所以降)
場所 | 力士 | 翌場所成績 |
1951年05月 | 三根山 | 11勝4敗 |
1979年05月 | 栃赤城 | 9勝6敗 |
1983年07月 | 出羽の花 | 3勝12敗 |
1997年11月 | 栃東 | 11勝4敗 |
2012年07月 | 豪栄道 | 8勝7敗 |
2013年05月 | 豪栄道 | 8勝7敗 |
それぞれの事例を詳しく見ていきましょう。
1951年5月 三根山
◆1951年5月場所
東 | 地位 | 西 |
三根山 7勝8敗 | 関脇 | 佐賀ノ花 4勝11敗▼ |
栃錦 9勝6敗△ | 小結 | 大内山 10勝5敗△ |
若ノ花 8勝7敗△ | 前頭1 | ― |
― | 前頭2 | 若葉山 8勝7敗△ |
備州山 11勝4敗△ | 前頭8 | ― |
↓
◆1951年9月場所
東 | 地位 | 西 |
大内山 | 関脇 | 栃錦 |
三根山 | 張出 | ― |
若ノ花 | 小結 | 若葉山 |
― | 張出 | 備州山 |
この時代のよくわからない番付編成のひとつ。小結を3人にしたから関脇もバランスよく3人残したんでしょうか?
小結を3人にした意味もよく分からないですね。若葉山は横綱2人(照国、東富士)を破った殊勲の星が考慮されたのかもしれません。
しかし、備州山は横綱羽黒山に勝っているとはいえ張出を作ってまで上がる成績かといえば……。
とはいえ、星の上がった力士を思い切って引き上げるのは相撲を取る励みになりますよね。
ちなみに三根山は、1952年9月場所に関脇で6勝9敗と負け越します。通常この星ですと平幕に落ちるのですが、翌場所小結に踏みとどまるという幸運を得ています。
1979年5月 栃赤城
◆1979年5月場所
東 | 地位 | 西 |
栃赤城 7勝8敗 | 関脇 | 黒姫山 4勝11敗▼ |
魁輝 8勝7敗△ | 小結 | 青葉山 5勝10敗▼ |
玉輝山 8勝7敗△ | 前頭4 | ― |
双津竜 10勝5敗△ | 前頭7 | ― |
↓
東 | 地位 | 西 |
魁輝 | 関脇 | 栃赤城 |
双津竜 | 小結 | 玉輝山 |
終盤の13日目14日目に大関に連勝(貴ノ花、旭国)した4枚目の玉輝山以外の平幕上位陣がそろって負け越しの憂き目に。
1983年7月 出羽の花
東 | 地位 | 西 |
出羽の花 7勝8敗 | 関脇 | 青葉城 4勝11敗▼ |
巨砲 5勝10敗▼ | 小結 | 舛田山 8勝7敗△ |
― | 前頭4 | 蔵間 8勝7敗△ |
大ノ国 8勝7敗△ | 前頭5 | 闘竜 8勝7敗 |
↓
◆1983年9月場所
東 | 地位 | 西 |
舛田山 | 関脇 | 出羽の花 |
蔵間 | 小結 | 大ノ国 |
平幕上位に勝ち越し力士がいなくて、中位にも目立った大勝ち力士がいないとこうなりますね。
ちなみに出羽の花は、小結時代にも7勝8敗で負け越しながら翌場所小結にとどまった経験をしています。⇒【大相撲記録】小結7勝8敗で翌場所も小結残留
1997年11月 栃東
◆1997年11月場所
東 | 地位 | 西 |
栃東 7勝8敗 | 関脇 | 出島 5勝3敗7休▼ |
― | 関脇 | 貴闘力 6勝9敗▼ |
栃乃洋 6勝9敗▼ | 小結 | 安芸乃島 7勝8敗▼ |
― | 前頭3 | 魁皇 8勝7敗△ |
琴錦 8勝7敗△ | 前頭4 | ― |
武双山 11勝4敗△ | 前頭6 | ― |
↓
◆1998年1月場所
東 | 地位 | 西 |
武双山 | 関脇 | 栃東東 |
魁皇 | 小結 | 琴錦 |
千秋楽7勝7敗で迎えた栃東ですが、優勝を目の前にした大関貴ノ浪の必死の河津掛けに敗れ去り負け越し。
しかし前頭7枚目以内の勝ち越し力士が上表の3人しかいない事態のため、関脇に残留。
翌1月場所の関脇小結4人は全員が勝ち越すという快挙。
2012年7月 豪栄道
◆2012年7月場所
東 | 地位 | 西 |
豪栄道 7勝7敗1休 | 関脇 | 栃煌山 4勝11敗▼ |
妙義龍 8勝7敗△ | 小結 | 豊ノ島 5勝10敗▼ |
碧山 8勝7敗△ | 前頭2 | ― |
栃ノ心 9勝6敗△ | 前頭4 | ― |
↓
◆2012年9月場所
東 | 地位 | 西 |
妙義龍 | 関脇 | 豪栄道 |
碧山 | 小結 | 栃ノ心 |
豪栄道は勝ち越しに王手をかけながらケガの為14日目から休場。
しかし平幕上位陣も三役昇進への決め手に欠け、豪栄道が翌場所も関脇に残留。
2013年5月 豪栄道
◆2013年5月場所
東 | 地位 | 西 |
豪栄道 7勝8敗 | 関脇 | 把瑠都 3勝5敗7休▼ |
栃煌山 6勝9敗▼ | 小結 | 隠岐の海 4勝11敗▼ |
妙義龍 11勝4敗△ | 前頭1 | ― |
松鳳山 8勝7敗△ | 前頭5 | 高安 8勝7敗 |
時天空 10勝5敗△ | 前頭8 | ― |
↓
◆2013年7月場所
東 | 地位 | 西 |
妙義龍 | 関脇 | 豪栄道 |
松鳳山 | 小結 | 時天空 |
7勝に終わりながら翌場所も関脇に残るパターンを1人で2回記録しました。
関脇連続在位記録の新記録(14場所連続)を作って大関に昇進した豪栄道ですが、記録の裏側には負け越しても落ちることがないラッキーが2度も訪れていたのです。
(大相撲記録アナリスト:まるほん)
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