【大相撲記録】小結10勝で関脇昇進ならず!
2015年10月26日、11月場所の番付が発表されました。
9月場所東小結で10勝5敗の成績だった栃ノ心は、11月場所の番付でも東小結に据え置きのままとなりました。
最近の番付編成ではよほどのことがない限り関脇小結は東西ひとりずつという方針を貫いており、9月場所では栃煌山と妙義龍の東西の関脇が二人とも勝ち越したため、10勝5敗と関脇にあがってもおかしくない好成績だったにもかかわらず栃ノ心は小結に留め置かれてしまいました。
一場所15日制が定着した1949年5月場所以降、小結で10勝5敗の成績をあげた力士はのべ66人いますが、そのうち14人が翌場所も小結に留められてしまいました。
小結10勝5敗で関脇に昇進できなかった力士
※1949年5月場所以降
場所 | 力士 | 東西 | 翌場所成績 |
1965年11月 | 琴桜 | 西 | 8勝7敗 ― |
1985年01月 | 北尾 | 西 | 10勝5敗 ▲ |
1985年07月 | 保志 | 西 | 8勝7敗 ▲ |
1986年01月 | 小錦 | 西 | 12勝3敗 ▲ |
1988年09月 | 水戸泉 | 西 | 0勝2敗13休 |
1989年11月 | 霧島 | 西 | 11勝4敗 ▲ |
1991年11月 | 栃乃和歌 | 東 | 8勝7敗 ― |
1998年01月 | 琴錦 | 西 | 6勝9敗 |
1999年11月 | 土佐ノ海 | 西2 | 8勝7敗 ― |
2004年11月 | 琴光喜 | 東 | 7勝8敗 |
2007年09月 | 安馬 | 西 | 10勝5敗 ▲ |
2008年05月 | 稀勢の里 | 東 | 6勝9敗 |
2013年03月 | 栃煌山 | 東 | 6勝9敗 |
2015年09月 | 栃ノ心 | 東 | ? |
翌場所の地位はすべて東小結。▲:翌場所後関脇に昇進。 ―:翌場所後も小結据え置き。
ちなみに小結で11勝以上の成績をあげた力士は翌場所みんな関脇に昇進しています。
両関脇が勝ち越していて入る隙無し
一番多いパターンが、両関脇がそろって勝ち越しているので昇進する余地が無かったというものです。
琴桜、北尾、小錦、水戸泉、琴錦、琴光喜、安馬、稀勢の里、栃煌山、栃ノ心の例がそうですね。
違うパターンのを見てみましょう。
保志の場合(1985年7月場所)
大乃国 12勝3敗(↑) | 関脇 | 小錦 9勝6敗 |
― | 張出 | 琴風 全休(↓) |
旭富士 5勝10敗(↓) | 小結 | 保志 10勝5敗 |
北尾 12勝3敗(↑) | 前頭 |
東関脇で12勝3敗の大乃国が大関昇進。西張出関脇の琴風が全休で平幕陥落。関脇の座がひとつ空きましたが、東前頭筆頭で12勝3敗の北尾が小結を飛び越えて関脇に昇進して、保志は東小結に留め置かれてしまいました。
霧島の場合(1989年11月場所)
琴ヶ梅 8勝7敗 | 関脇 | 寺尾 8勝7敗 |
水戸泉 11勝4敗(↑) | 小結 | 霧島 10勝5敗 |
関脇小結が全員勝ち越した場所。東小結で11勝した水戸泉は関脇に上がり、翌場所は関脇3人体制。小結で10勝の霧島は翌場所は東に回っただけ。
しかし霧島は、この10勝を皮切りに11勝→13勝(優勝同点)と好成績を続けて、1990年3月場所後に大関に昇進しました。
栃乃和歌の場合(1991年11月場所)
貴闘力 8勝7敗 | 関脇 | 安芸ノ島 4勝11敗(↓) |
栃乃和歌 10勝5敗 | 小結 | 琴錦 12勝3敗(↑) |
若花田 7勝8敗(↓) | 張出 | ― |
西関脇の安芸ノ島が大負けして関脇の座がひとつ空きましたが、そこに座ったのは西小結で12勝3敗と大勝ちした琴錦でした。栃乃和歌は東小結に留め置かれたままになってしまいました。
東小結の10勝で関脇に昇進できなかったのは15日制定着以後は初。東小結10勝の小結留め置きは栃乃和歌以後4人出ていますが、そのうち二人は栃煌山、栃ノ心と春日野親方となった栃乃和歌の弟子なのも因縁でしょうか。
土佐ノ海の場合(1999年11月場所)
貴ノ浪 6勝9敗(↓) | 大関 | ― |
魁皇 11勝4敗 | 関脇 | 栃東 10勝5敗 |
武双山 10勝5敗(↑) | 小結 | 安芸乃島 3勝12敗(↓) |
― | 小結 | 土佐ノ海 10勝5敗 |
両関脇が勝ち越し。東小結で10勝の武双山は関脇に昇進したので同じ小結で10勝の土佐ノ海もあがれるかと思いきや、大関で二場所連続負け越した貴ノ浪が陥落してきて関脇が4人になり小結据え置き。
土佐ノ海はその後も小結で勝ち越しを続けます(8勝、9勝)が、関脇にあがることができず2000年7月場所まで5場所連続で小結を務めました。
琴桜、北尾(双羽黒)、保志(北勝海)、小錦、霧島、琴光喜、安馬(日馬富士)、稀勢の里と14人中8人がこの不運を乗り越え大関以上に昇進しています。腐らないでがんばることが大切ですね。
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