▶大相撲 ▶カルチャー ……BOOK ……大相撲の話題

立合いの瞬間に力士が爆死!? 「大相撲殺人事件」というミステリーの奇書を読んでみた

2017年の上半期が終わりそうになったころ、文庫本の裏表紙に書かれているあらすじが衝撃的すぎたために、10年近くの歳月を越えて大増刷が掛かった本がありました。

その本は大相撲殺人事件 (文春文庫)

ミステリー作家小森健太朗氏が、国技大相撲を題材に挑戦した六作連作の本格的ミステリーです。

 

衝撃的なあらすじ

ひょんなことから相撲部屋に入門したアメリカの青年マークは、将来有望な力士としてデビュー。しかし、彼を待っていたのは角界に吹き荒れる殺戮の嵐だった! 立合いの瞬間、爆死する力士、頭のない前頭、密室状態の土俵で殺された行司……本格ミステリと相撲、その伝統と格式が奇跡的に融合した伝説の奇書。 解説・奥泉光

立合いの瞬間、爆死する力士

頭のない前頭

密室状態の土俵で殺された行司

つっこみどころ満載の文言が並ぶ裏表紙。

この裏表紙のあらすじがTwitterの投稿で取り上げられ話題沸騰。

2008年が初版だったため、すでに新刊は在庫切れで手に入れられない状態。

Amazonでも中古で急に高い値段で出品され始めました。

一時期は1冊3万円を超える値段が付くほどに。

しかし、Twitterでの反響を見た文春文庫は第2刷の出版を決定。ほどなくAmazonや書店でも定価で買うことができるようになりました。

高値で手に入れてしまった方……、ご愁傷様でした。

 

2008年11月10日 第1刷

2017年6月30日 第2刷

約9年半の時を超えて、第1刷から第2刷へ。ネットの口コミが出版社を大きく動かしたのです。

 

内容

ひょんなことから(いささか強引な形で)相撲部屋に入門してしまったアメリカ人青年マークが、次々と角界に起こる殺人事件に巻き込まれていく物語。

マークは幕内まで出世して四股名を「幕ノ虎」と改名。親方の娘聡子とのちょっとした恋模様なども織り交ぜながら話は展開していきます。

話が進むにつれて、相撲のうんちくを語る万年幕下御前山の存在が大きくなっていくのにも注目。

6話連作。6話の題名は次の通り。

第一話 土俵爆殺事件

第二話 頭のない前頭

第三話 対戦力士連続殺害事件

第四話 女人禁制の密室

第五話 最強力士アゾート

第六話 黒相撲館の殺人

第一話、第二話で裏表紙のあらすじで気になった「立合いの瞬間、爆死する力士」「頭のない前頭」の謎が解明。

読み応えのあったのが第三話の「対戦力士連続殺害事件」。

入門から1年で晴れの新入幕を果たしたマークこと幕ノ虎。初日から白星を重ね続けてなんと14連勝。

それもそのはず、幕ノ虎と対戦するはずだった力士が取組の前に次々と殺されていくのだから……。

既に前日に対戦相手が決定しているので、幕ノ虎は不戦勝となり14連勝。

昔ツービートの本に「大相撲で15戦全部不戦勝だった場合、優勝と認められるのか?」という疑問が書かれていたのを思い出させる展開。

対戦相手 死因
初日 輒鷹 鈍器で撲殺
2日目 鉢門谷 鉄骨の下敷き
3日目 霧雨錦 絞殺
4日目 早稲桜 刺殺
5日目 呉耐海 水死
6日目 青栃樹 服毒死
7日目 囲勢山 射殺
8日目 巨魁来 焼死
9日目 破天荒 感電死
10日目 華菖蒲 雀蜂に刺される
11日目 猪獅子 凍死
12日目 滝打錦 転落死
13日目 葡萄錦 一酸化中毒
14日目 桃栗山 交通事故

すべて死因が異なるというバリエーションの豊富さ。

次の対戦相手が幕ノ虎と発表された力士の恐怖といったらいかばかりだったか。

14日目の桃栗山にいたっては、幕ノ虎との対戦が組まれたことに抗議するために相撲協会に行く途中に車に撥ねられてしまうという有様。

不戦勝で14連勝の幕ノ虎は千秋楽、同じく14連勝(こちらはちゃんと相撲を取って)の横綱と優勝を賭けて対戦することになるのだが……。

対戦相手が次々と死んでいくという突飛な設定もそうだが、意外な犯人と意外な犯行動機と、6作の中では一番飛び抜けた存在でした。

 

第四話「女人禁制の密室」では、最近相撲界で話題になっていることが題材。ワイドショーなどが今さら騒ぐ問題を10年以上前から取り上げているという先見の明(2008年の文庫版が出る前の2004年にノベルスで出されていました)。

 

第五話「最強力士アゾート」、第六話「黒相撲館の殺人」と話が進んでいくと、いっそう狂気の世界に迷い込んでいくようになります。

第六話とか正直、内容を理解するのにちょっと苦労しました。

 

それにしてもこの作品「大相撲殺人事件」という名だけあって、力士が殺されまくります。

作品中の聡子のセリフによれば、

「一年前に幕内にいた力士も、この一年で四十パーセントくらいいなくなっちゃったわねぇ」

1年間で幕内力士の40%が死亡とは。角界存亡の大危機ではないですか。

「いなくなっちゃったわねぇ」などとのんきに言ってる場合ではないでしょ。

 

「そんなに力士を殺したがっている人が世の中にたくさんいるとは思えないけれど……。いや、そうでもないか。最近よく力士殺し、起こってるしなあ。じゃあやっぱり別の力士殺人犯がまだいるってこと?」

また聡子さんのセリフ。こんなセリフが出てくる小説なんてそうそうない。

最近よく力士殺し、起こってるしなあ

そんな世界いやです。

 

「大相撲殺人事件」文庫版の解説は作家の奥泉光氏が担当。

解説の最後には、このように書かれています。

ところで、聞いたところでは、小森氏は『大相撲殺人事件』の続編として、『中相撲殺人事件』『小相撲殺人事件』というのを構想中だという。意味がよくわからないが、一段と馬鹿馬鹿しさがパワーアップしそうな気配に、いまからわくわくする。

 

意味がよくわからないが

 

……サンドウィッチマンかな?

 

たしかに、『中相撲殺人事件』『小相撲殺人事件』でなくてもよいから、続きを読みたいものです。幕ノ虎横綱編かな。

 

作者

小森健太朗-Wikipedia

小森健太朗Twitter

 

追記

『大相撲殺人事件』の続編『小相撲殺人事件』が電子書籍で出版されていた! あの御前山の推理が冴え渡る!?

 

「大相撲」カテゴリーの記事

大相撲の話題

大相撲ガイド:大相撲の基礎知識を解説します

大相撲記録

珍決まり手:めったに見られない珍しい決まり手の解説と出現頻度など

大相撲観戦:国技館観戦記や国技館おみやげ情報など

大相撲イベント:大相撲イベント等の記録。

地方巡業:地方巡業の日程など

予想番付:毎場所後に次の場所の幕内と十両の番付を予想してます。

四股名:力士の四股名に関する話題あれこれ

相撲女子

優勝力士一覧

三賞一覧

関取一覧:昭和以降に関取として土俵にあがった力士の一覧です

 

「BOOK」カテゴリーの記事

 

全カテゴリーINDEXへ

 

ブログ作成者

ブログ作成者

まるほん(ブログ作成者)
茅ヶ崎 湘南 サザン
大相撲 プロ野球 高校野球
鉄道 歴史 文房具
クイズ 辞書 書籍
TKG ラーメン 唐揚げ カレー
アイドル 松井玲奈 握手会
etc……をこよなく愛する

詳しいプロフィールはこちら

フォローしていただけると嬉しいです。

Twitter @maruhon38


Instagram maruhon38

Feedlyに登録できます。

follow us in feedly


 

-▶大相撲, ▶カルチャー, ……BOOK, ……大相撲の話題