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村瀬秀信「4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」

2017/01/28

2017年1月6日、巨人からDeNAベイスターズへの移籍が決まった平良拳太郎投手の入団会見が開かれました。

2016年までベイスターズ先発投手陣の1人だった山口俊投手の巨人へのFA移籍に当たり人的補償として移籍してきたのが平良投手です。

またもやベイスターズからFAでの主力選手流出。

しかし数年前に内川聖一選手(現・ソフトバンク)、村田修一選手(現・巨人)がFAで移籍したころと比べるとそれほど悲壮感はありません。

親会社が変わり中畑監督が就任するなどして活躍する若手選手が増え、昨年(2016年)久々のAクラスで初のCS進出を決めるなど、チームが着実に力をつけている感覚がファンの間にもあるからでしょう。

でもここ十数年のベイスターズはそうはいかなかった。

1998年の劇的な日本一から、火を見るより明らかに年々戦力ダウンしていき、監督は2年ごとに代わり毎年毎年100敗近い敗戦を繰り返していく。

ベイスターズからFA・トレードで他球団に移籍した選手は羽を伸ばして大活躍して、ベイスターズに入団してくる選手は伸び悩む……。

「横浜から出る喜び」なんて言葉で揶揄されることもありました。

そんな苦闘の連続である球団の歴史を、子供のころからベイスターズを愛してやまないライターが綴った本。それが

「4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」です。

村瀬秀信(@H_MURAN)著。双葉文庫。

4522敗は12球団最多の敗戦数を誇る(?)ベイスターズの創設時からの通算負け星。本書の単行本が出る前の2012年シーズン時点での数字です。2016年シーズン終了現在では通算4827敗と順調に(?)敗戦を積み重ねております。

 

日本一以降のベイスターズ

1998年 1位(日本一)
1999年 3位
2000年 3位
2001年 4位
2002年 6位
2003年 6位
2004年 6位
2005年 3位
2006年 6位
2007年 4位
2008年 6位
2009年 6位
2010年 6位
2011年 6位
2012年 6位
2013年 5位
2014年 5位
2015年 6位
2016年 3位

優勝後の2年間はAクラスを確保したものの、21世紀に入ってわずかに2回Aクラスに入ったのみ。最下位は2008年~2012年の5年連続を含む10回。21世紀のシーズンまだ16回なのに。

やはり次の優勝は1998年から38年後の2036年になってしまうのか(1998年の優勝は1960年に初優勝して以来38年ぶりだった)。

 

選手・監督・コーチ・OB・球団関係者たちの生の声

本書では、そんなベイスターズの果てしなく長い低迷期を戦った選手・監督・コーチ・OB・球団関係者たちをインタビュー取材した生の声がリアルに綴られている。

木塚敦志、中野渡進、山下大輔、古木克明、遠藤一彦、市川和正、高橋雅裕、近藤昭仁、野村弘樹、鈴木尚典、加地隆雄、中畑清、三浦大輔、大堀隆、石井琢朗、駒田徳広、大矢明彦、田代富雄、内川聖一、村田修一……

こんなにも多くの人たちから話を聞く丁寧な取材。みんな定まらない球団の方針に業を煮やしながらも、チームを愛する深い思い、勝利を重ねるチームとして復活してほしいという思いがひしひしと伝わってきます。

この中で印象に残ったのはファームのバッティングコーチを主に務めた田代富雄。

田代は選手に慕われた。練習にはとことんつきあってくれる面倒見の良さと、人柄の良さ。怒る時はぶん殴るほどに怒る。

現役時代はホームランバッターとして活躍し、現役引退直後は茅ヶ崎市内でピンク色の奇抜な外観のラーメンを営んでいた田代。

選手たちから絶大な信頼を集めるコーチになっていたんだなと。チームが不振で監督代行を務めなければならなかったシーズン。「来季(の監督)は田代さんでお願いします」と選手たちから懇願されるほどの慕われよう。

今のベイスターズに田代が残っていないのは大きな損失だなあと思うわけです。今現在、田代の指導を受けられる巨人のファームの選手たちは幸せですね。

 

何故弱くなってしまったのか

いくつか要因はあると思いますが、自分ではこの2点が大きかったんじゃないかと思います。

森監督への継承時期

西武ライオンズの黄金時代を築き上げた森監督を招くことはよかったと思いますが時期が悪かったとしか。

前任の権藤監督の放任主義による伸び伸び野球でも(選手個々人が大人だったため)勝率5割は勝ち続けてAクラスを保持できていたのである。それが正反対のガチガチの管理野球に転換。

今までのやり方で勝てるのになぜ変えなきゃいけないのか? 監督と選手たちの間に深い溝ができたように思えてなりません。

放任野球で負けに負け続け、このやり方ではダメなんじゃないか?というタイミングで就任していれば森監督のやり方も受け入れられたのではないでしょうか。

 

谷繁捕手流出の愚を繰り返す

ベイスターズ長期低迷の原因としてもっとも大きいのは谷繁捕手の中日への移籍へという意見は多いです。

たしかにこれが一番の痛手かなと思います。

しかしこの一件を教訓にしていれば、さらなる低迷はまだ防げていたのでは。

それは2008年のシーズン。正捕手の相川がシーズン終了後にFAでヤクルトに移籍。相川がFA移籍する可能性があったのにシーズン途中で第2捕手の鶴岡を巨人へトレード。

守備の要である捕手2人を同時に失うという失態。巨人に移籍した鶴岡は怪我した阿部慎之助の代わりに日本シリーズ進出したチームでレギュラー捕手として活躍したしな。

成績が安定しているチームには必ず絶対的な捕手がいるというのはよくいわれること。経験の浅い若い捕手しか残らなかったらそれはキツイでしょうね。

 

と自分なりにまとめてみましたが、みなさんはベイスターズ低迷の原因はどこにあると考えているでしょうか。本書を読んでみて思いをはせてみるのもいいかもしれません。

 

余談

まったくの私事ですが、著者とは同じ高校出身で同学年。同じクラスになったことはないですが、3年次の選択授業で同じ教室に机を並べていたこともあったんです(向こうはまったく知らないことだと思いますが)

同じ高校の卒業生がこのような立派な本を出版しているのは、実に誇らしいことであります。

自分も負けないようにがんばるぞ!

 

1月10日に茅ヶ崎で開かれる、ベイスターズ倉本寿彦選手(茅ヶ崎出身)、ライター村瀬秀信氏ほか出演のトークショー『茅ヶ崎カルチャー大学「ひかり輝く茅ヶ崎の星」』に行く予定です。とても楽しみです!

 

 

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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